伝統的な素材の区分
リアルドールを選ぶ上で、素材選びは最も重要な決定の一つです。主にTPEとシリコンの2種類が使われており、好みや使用スタイルによって最適な素材が異なります。
ちなみに、多くの初心者プレイヤーは、市販されているすべてのTPE素材やシリコン素材がまったく同じ特性を持っていると考えがちですが、実際には同じTPE素材でも、同じシリコン素材でも、メーカーやブランドによって、その材料の配方が異なるため、軟硬度・伸び・オイルの滲出量などがそれぞれ違いがあります。
TPEとシリコン
TPE：
名称は「Thermoplastic Elastomer」の略で、日本語では「熱可塑性エラストマー」です。2000年代後半からリアルドール市場に本格的に参入し、その驚異的な柔軟性と低価格から一気に人気素材となりました。現在ではエントリー～ミドルクラスのドールの主流素材です。
シリコン：
高級ドールに使用されるのは、主に医療用グレードのプラチナシリコーンです。
リアルドールの歴史においてはTPEよりも前から使用されている、高級素材の代名詞です。当初は硬い印象がありましたが、技術の進歩により現在では非常に柔らかいシリコンも登場しています。
ハイブリッド：
特に正式名称はありませんが、主に「ハイブリッド」や「シリコンヘッド+TPEボディ」などと呼ばれています。カスタマイズオプションの一つとして提供されていることがほとんどです。
ハイブリッドのドールは、それぞれの素材が持つ長所を最大限に引き出し、短所を補完するという発想から生まれました。ユーザーが最もこだわる部分に最高の素材を配する、という実用的な選択です。
費用・価格帯
| 素材 | 価格帯（目安） |
| TPE | 15万円前後 |
| シリコン | 30万円前後 |
| ハイブリッド | その中間（ヘッドがシリコン、ボディがTPE） |
素材の性質
分類: どちらもゴムのような弾性を持つ「エラストマー」という素材です。
TPE: 熱可塑性エラストマー（加熱すると溶けて冷やすと固まる、例: チョコレート）。
シリコン: 熱硬化性エラストマー（加熱によって硬化し、その後は溶けない、例: クッキー）。
柔らかさと伸縮性
| 素材 | TPE | シリコン |
| 伸縮性 | 非常に優れている（6〜8倍伸びる） | 若干劣る（3〜5倍伸びる） |
| 破れやすさ | 小さな傷があっても比較的破れにくい | 小さな傷があると、伸ばした際にそこから割れる可能性がある |
| 可動域 | 腕を完全に上げられるなど、アクロバティックなポーズや開脚に向いている | 腕は90度程度がベスト。それ以上は破ける可能性がある |
*SHEDOLL社のTPE＆シリコン素材比較動画。
ブリード（油の滲み出し）
原因: 素材を柔らかくするために使用されている油が分解され、表面に突出すること。
TPE: ブリードが多い傾向にある（柔らかい素材のため）。
シリコン: ブリードが少ない傾向にある。
逆転現象: 超柔らかいシリコンは、硬いTPEよりもブリードが多くなる場合もあります。
メンテナンス：ブリードが出た場合はベタつくため、洗ってパウダーを施すのが一般的。お風呂場への移動が困難な方や、ずっと衣装を着せたい方にはブリードが少ないシリコンが推奨されます。ブリードにより、衣装の染料がドールに転移することが最大の原因です。
傾向: ブリードが少ないシリコンの方が色移りの可能性は低いですが、衣装の種類やドールとの密着性の方が重要です。
注意：ネット販売されているコスプレ衣装（特に黒と赤）は色移りのリスクが高いです。
*よく見えるスタッキングによる色移り現象。
耐久性・寿命
| 素材 | TPE | シリコン |
| 寿命の目安 | 5年程度 | 10年程度 |
メイク・造形・匂い
| 素材 | TPE | シリコン |
| メイク | 化粧（低耐久性）。クレンジングオイルなどで簡単に落ちるため、自分でメイクをアレンジしやすい。柔らかく温かい印象。 | 塗装（高耐久性）。塗装後にオーブンで焼いて硬化させるため、落ちにくい。メイクの変更は困難。くっきりした印象。 |
| 造形 | 細かい凹凸感はない。 | かなり細部まで作り込み、肌のきめまで再現するタイプもある。リアルさを求めるなら一択。 |
| 匂い | 物によって独特なゴムの匂いがある場合があるが、通常1週間程度で落ち着く。 | 基本的に無臭。 |
（2023年以降から）ラブドール新素材の特性
STPE
スーパーTPEという名前で、略称がSTPEである素材。名前の通りに、実は伝統的な比率を変更して革新されたTPEの一種です。標準的なTPEよりも耐久性と肌触りが向上していることが強調されている可能性があります。STPEは2024年の年末頃にWM社から始めて発行されて現在なら、業界では幅広く使用されております。
MTPE
MTPEは実際、STPEの一種で、MOZU社が発行する素材であるため、MTPEと名乗りました。高密度なTPE素材であるSTPEを使用し、特に重量感や肌の弾力、本物に近い感触を追求している可能性が示唆されます。
ALM
STPEの一種で、現在は主にCrossiantDoll社に使用されています。TPEの欠点とされる油浮きや経年劣化を大幅に軽減し、より長く美しい状態を保てることを目指した最先端のプレミアム素材である可能性が高いです。
CRシリコン
スーパーソフト（超软）とも言いますが、シリコン素材の一つとして、柔軟性的に大幅にアップグレードされてます。相対的に、ブリードも一般シリコンよりひどくなる上、壊れやすくなります。実用方向の進化であるため、写真撮影を主な用途で購買する方にはお勧めしません。
プラチナシリコンとプラチナTPEって伝統ラブドール素材とは何が違ってる？
この問題については分けて討論させていただきます。
プラチナシリコン (Platinum Silicone)
従来のシリコン（錫系シリコン）との違い
硬化方式の根本的な違い：
従来の錫（スズ）系シリコン： 錫を主な触媒として硬化させます。この過程で、時間の経過とともに錫化合物が分解・揮発することがあり、これが黄変や、ごく稀に体積収縮を引き起こす原因の一つとなっていました。
プラチナシリコン： 白金（プラチナ）を触媒として硬化させます。この化学反応は非常に安定しており、不純物の発生が極めて少ないです。
特性の優位性：
高い耐久性： 錫系に比べて黄変や劣化が起こりにくく、長期にわたって初期の美しさを維持します。
安全性と安定性： 無味無臭で、生体適合性が高く、医療用具やベビー用品にも使用されるほど安全です。
色の再現性： 透明感や肌色の発色が美しく、精密な造形に向きます。
結論： 「プラチナシリコン」は錫系シリコンとは一線を画す、より高耐久・高安定な「シリコンの種類」を指す技術名称です。
プラチナTPE (Platinum TPE)
TPEの本質：
TPEは特定の1つの化学物質を指すのではなく、様々な樹脂とゴムをブレンドしてできる「素材のカテゴリー」 です。そのため、メーカーごとに「秘伝のレシピ（配合）」が存在します。
「プラチナTPE」の正体：
マーケティング用語： 「プラチナシリコン」が高品質の代名詞であることから、そのイメージを借りて、「自社のTPEは最高級の品質です」とアピールするための優れたマーケティング表現です。
技術的裏付けの曖昧さ： シリコンのように「プラチナ触媒を使用したTPE」という具体的な化学的定義はありません。あくまで「他社のTPEよりも、耐久性や肌触りが優れています」ということを比喩的に表現したものと理解すべきです。
素材の特性に影響を与えるドールの追加機能
軽量化
ドールが軽量化される場合、一般的に内部一部の素材を軽い発泡スチロール素材に変更することで実現します。
その場合、柔らかいシリコン素材が薄くなるため、柔らかさと使用寿命に一定的な影響を与えます。
体温機能
対応機能は、ドールの内部に発熱線材を入れる仕業で、発熱の状態になる場合、素材が溶けるまでの高温にはなりませんが、温度が昇るほど、素材のブリードの状況がひどくなります。そのため、使用頻度によって、使用寿命に影響を与えます。シリコンはTPEより熱に強いため、体温機能を利用するにはお勧めします。
*新型水循環体温機能
ハードフィート・ハードハンド
ハードフィートとハードハンズは、シリコンドールにのみ適用可能な追加機能で、手と足をよりに硬いシリコン素材で仕上げます。その場合、指骨格による指の破れやすい状況と直立機能の足部分の釘による摩損から避けられるようになります。ですが、伝統的な柔らかさは同時に犠牲します。またその際、硬い素材と柔らかい素材の間には、目立つな線が生じる恐れがあります。メーカーによってその目立つさが異なりますが、細かく観察したら、一番いいメーカーの出荷でもその線が見えます。
ゼリー胸・ゼリー尻
ゼリー胸とゼリー尻は、特定部位に一定的な空間で他の素材を入れる技術です。ゼリー素材と呼びますが、実はTPE素材の一種で、とても柔らかい素材です。ゼリー素材を入れる場合、保存不当である場合、裂けるや皮と内部が分ける現象が発生する恐れがあります。
局部的な柔らか仕上げ
膣、太もも、お尻、腹などの部位を局部的に柔らかく仕上げるのは、実際ハードフィートとハードハンズとはちょうど反対する技術で、その部位たちのみを柔らかいシリコンで生産する技術です。両方とも柔らかい素材であるため、両素材間の線はないです。
顎機能・可動式瞼・ソフトチーク
顎機能：口使用可能・口の開けるままで固定可能
ROS機能：口使用可能・口の開けるままで固定可能・リアルな口腔造形があり（一体式の舌と歯）
可動式瞼：目の瞼が柔らかくで、目の開けと瞑り状態の間から交換可能
ソフトチーク：チークの部分の皮膚は、本物の人間の顔のようにひとつまみ起来て、手を放すと元通りになります。
上記の機能は全部、柔らかい素材でしか制作不可です。
顎機能とROSの場合、全ヘッド柔らかい素材で仕上げます。
植毛
植毛は毛髪を一本一本肌の奥まで挿し込む人工技術です。植毛が人工で挿し込んだ毛嚢から落ちやすくならないように、素材の硬さに要求があります。そのため、柔らかい素材では勧めしません。ですが、硬い素材でも、植毛が落ちる可能性があります。その場合、シリコンだと表面にある穴は修復不可なので、気になる方なら選択から避けてください。
*Galatea社の植毛紹介動画
まとめ
ラブドールの素材選びは、TPEとシリコンの特性比較が核心となる。TPEは柔軟性とコストパフォーマンスに優れ、シリコンは耐久性と造形の精密さで選ばれる。ハイブリッドや新素材STPE・ALMといった選択肢も加味し、自身の優先順位に基づいて最適な素材を選択することが重要である。
もしご選択中に、また何か分からない部分か、拘る部分がございましたら、いつでも弊社までお気軽にお問い合わせください。
